精磨の一族【ヘッドハンティングシリーズ】
🕑 Added 2018-05-06 08:19:50 +0000 UTC
最近、隣のデスクの秋村が変わった。
以前はどこかぼーっとしていて、アホみたいなミスを繰り返し、その度に課長から叱りつけられても、その意味すら分かっているのかわからないくらいに
「はあ、すんません。」
なんて返事するような奴だったのに。
最近は2、3日有給で休んで見なかったと思ったら、出てきた秋村はまるで別人のようになっていた。
まず目が違う。
整形したとかそういうものではなく、闘志だとか野心のようなギラつきを奥に秘めた目つきに変わった。
表面上は何も変貌したわけではない。しかし、その変化に気づいたものの数は少なくなかったようで、すぐに会社の噂になった。
そして仕事が変わった。
今までボンクラしていたのは全部演技だったのか?と疑いたくなるほどにテキパキと全てをこなし、先月発表された営業課の順位では最下位を新卒と争っていた先月までのアイツはどこへやら。うちのバリバリのエースたちと肩を並べてTOP5にランクインし、それまで散々奴を叱り飛ばすことしかできなかった課長でさえ、笑顔で
「今月からはお前も1軍入りだな。」
と秋村を讃えるほどであった。
その後も秋村の快進は留まるところを知らず、今や長年のエースたちと渡り合い、うちの会社の売上を延ばす主力だし、いつの間にやら鍛え始めてでもいたのか、スーツの上からでもわかるくらいに逆三角形の男のデフォルメが浮き出て、髪もいつもスッキリと切りそろえられ、男の俺でもいい匂いがするようなコロンでもつけてるのか、とにかく魅力溢れる雄になった。
「秋村のやつは一体何があったのかね?」
同期と飲みに行っても、その話題が毎回必ず上がるくらいにこれは大きなニュースであった。
「なんか、前はボーっとしてたけど、随分変わったよなあ。この前あいつと外回り行ってたら、逆ナンっていうの?駅でアイツ女子大生みたいなやつに声かけられてたよ。」
「はっ!?まじかよ。道聞かれたとかじゃなく?」
「違う違う。今時間ないですか〜?って、美味しいお店とか知ってたら一緒に行きませんか〜って。アイツ最近変わったとは言え今年30だろ?そんなのに女子大生が声かけてるんだもん。俺もビックリしちゃったよ。」
「秋村はどうしてたんだよ?」
「仕事中だからってサラッと断ってた。」
「なんだそれ、もったいねーの。」
「でも今のアイツくらいになったら女くらい作り放題だろ?そんくらい変わったもん。」
「マジな。あれは何が起きたのかわからん。薬でもやってんじゃねえかと思ったぜ。」
「昔見たショッカーみたいに、どっかに拉致られて改造されてたりしてな。」
「なんだよそれ。バカじゃねーのお前。あっ、すいませんビールもう一杯!」
「バカとか言うなよ。でもそんくらい別人だからさ。」
「まあ、な。スーツとかもいつの間にか良いものに変わってるしな。どこにそんな金あったんだか。」
「ま、それも含めて今日は色々聞いてやろうぜ。」
「おっ、来たの?」
「おーい、秋村。こっちだ。」
「悪い。ちょっとしくじっちゃってさ。遅くなってごめんな!」
「いいって、いいって。今やうちのエースの秋村様が失敗なんて最高の酒の肴だぜ。」
そう、俺たちはこの日の飲み会で秋村の秘密を探ってやる気マンマンだった。
そんなこちらの思惑を知ってか知らずか、いつしか見慣れてしまった新たな秋村の爽やかなスマイルが居酒屋の中をこちらに歩いて来る。
「なんだよ急に。今まで飲みになんて誘ってくれもしなかったくせによ。」
「まあまあ、とりあえず乾杯しようぜ。」
「最近急成長の秋村様の武勇伝を聞かせていただきたいんっすよ。」
「なんだよ、それ。武勇伝なんてなんもねぇっつーの。」
そう言って笑う姿さえ絵になるくらいにこいつは変わった。
はっきり言えば前は冴えない生き物が仕方なくスーツを着て暮らしのために会社に来てるみたいなもんだったけど、今じゃエリートリーマンと言われても遜色ない。1人の企業戦士がそこにいた。
酒が入れば何か聞き出せるかという俺たちの算段は、思うような成果をあげなかった。秋村はザルだったのである。
これは今までこいつと飲みになど出たこともさほどなかった為に俺たちが知らなかったことなのか、ここ最近で急変貌を遂げた秋村が酒に強くなっていたのか、それを知るすべはない。
「秋村ぁっ!」
「はいはい、お前もう飲むなよ。」
呆れ顔まで男前か。
「秘密を探ってやろうぜ。」と言い出しっぺの同期は早々に酔いつぶれ、今やただの人間の形をしたスライムと化していた。さっきから
「秋村ぁっ!お前*●£%¥☆…」
と、突然秋村の名前を叫び、あとは異界の言葉をフニャフニャと放つモンスターである。
酒には自信のあった俺でさえ、もう限界を感じる。これ以上飲めば記憶はぶっ飛ぶだろう。
「あー、なんか悪いな。こっちから誘ってこんなんなっちまって。」
俺は一応秋村に謝罪した。別にいけすかないわけでもなかったし、秘密を聞き出してやろうという下心があったとは言え、俺たちから誘った以上、あまりにも失礼なお開きになる予感しかなかったからである。
「別に良いって。こんな風に誘ってもらえたの初めてで嬉しかったしさ。」
そういえば、俺たちはほぼ同期入社でありながら今まで一度もこんな席を設けたことはなかった。出会った頃からボンクラのイメージがあった秋村にわざわざ声をかけるという発想もなかったし、会社の全体の飲み会以外でこいつが酒を飲む姿を見たのは今夜が初めてだった。
「秘密を聞き出してやろう。」と言い出した同期はどうなのか知らないが、俺はなんだか急に自分が恥ずかしくなった。
急にステップアップしていく秋村から秘密を聞き出してどうしようとしていたのだろうか。おこぼれに預かりたかったのだろうか。弱点を見つけて蹴落としてやりたかったのだろうか。そのどれでもないと思いたいけれど、どうしてそれなら今までの冴えない秋村には見向きもしなかったのか。今こうして男を上げた同期と共に居酒屋で語らうという光景を俺は欲していたのだろうか?なんだか自分がひどく浅ましい人間に思えた。
「秋村…。」
「ん?」
「ごめんな。」
「え?」
「俺、さ…。」
俺は今思ったことを正直に全て打ち明けた。秋村なら許してくれると思った。許しを欲してそんなことを言うあたり、俺はやっぱりズルいのだと思う。
言葉をつなげていくうちに、なんだか息が苦しくなって、自分が泣いていることに気がついた。鼻をすすって、しゃくりあげながらこんな話をしてるなんて、俺はやっぱり格好悪い。
「おいおい、あいつはぶっ潰れるし、お前は泣き上戸か?勘弁してくれよな。」
そう言いながら秋村は俺の肩に手を伸ばし、優しく抱いてくれた。
「だってざ…俺悔しかったし、羨ましいし、いっづも誰かに追い抜かれてて…。」
もはや当初の話とは何も関係のない自分の愚痴をベラベラと喋るのを止めることができないが、秋村が優しく肩を抱いてくれるから止めることができない。
鍛えてでもいるのか、その腕は太くて熱くて、妙な安心感があった。
いつしか俺は酔い潰れて眠ってしまっていたようである。
目が覚めたらバカでかいベッドの上だった。
なんだこれ?キングサイズってやつか?いや、そもそもなんでこんな所に?
色々と思い巡らせて行くうちに、秋村達と飲んでいたことを思い出す。
「そうだ…それで俺酔い潰れて…。」
ここはどこかのホテルか何かだろうか?生活感を微塵も感じられない空間だ。部屋にあるのは巨大なベッドだけで、窓もない。天井からぶら下がってるのは…シャンデリア?
「って、おい!ここラブホじゃねーの!?」
あの3人の中で最後まで酔い潰れなかったのは秋村だけのはずだ。ということはアイツが俺をここに連れてきたことになる。いや、先に酔い潰れてスライムになってた同期も入れて3人か。大人の男2人を抱えてどう移動したんだ?いや、それ以前に男3人でラブホって…ダメだ。考えすぎて頭がパンクしそうだ。
1人で俺がアルコールの抜け切らない頭で悩んでいると、部屋に唯一のドアが開いた。
「起きたみたいだな。」
全裸の秋村がそこから入ってきた。
え、なんでお前裸なの?
俺たちまさかなんかあったの?
いや、俺がきてる安いスーツには何も乱れたような跡はないし。
となると同期のあいつと何かあったのか?
機関銃のように頭の中で疑問が飛び交うが、あまりにそれらが多すぎて何一つ口から出てきやしない。
「え、お前チンポでかくね?」
口をついて出てきたのは意味がわからなすぎる言葉だった。
でもそれも無理はない。逞しく盛り上がった胸板、6つに分かれた腹筋、股間に向けてシャープな影を落とすその下に鎮座している秋村の男の象徴は俺が今まで見たことないような異様なデカさを誇っていた。全く勃起などしていないにもかかわらず、長さは20cmはあるだろうか?太さは細い缶コーヒーくらい。コンドームはXLサイズでも避妊には危ないかもしれない。
陰毛は豊かに繁り、その雄を華々しく見せている。垂れ下がる玉袋には鶏の卵ほどもあろうか、かなり大きな睾丸が2つ、ずっしりとした重みを匂わせながら存在している。亀頭は滑らかに剥きあがり、ややくすんだ桃色の亀頭が堂々としている。捲り上げられた包皮に弛みなどは見られない。セコセコと俺が社員旅行の風呂場に行く前にやっていた見栄剥きなんかではなさそうな、綺麗な露茎である。
「チンポデカくね?」
なんて俗っぽい言葉で言ってしまったが、なんだか神々しいくらいの男のシンボルがそこにはあったのである。
「いや、前はこんなデカくなかったぜ?でも教祖様のおかげでデカくなってさ。皮も剥いていただけたし、玉も不浄を取り除いてくださって、全部そのおかげだよ。」
快活に笑いながら意味のわからない返事をする秋村。待て、なんか今かなりヤバイ言葉を聞いてしまったような気がする。
「お前は優しいな。さっき飲み屋で全部正直に話してくれて嬉しかったぜ?」
そういや俺、なんか色々と言ったっけなあ。でもそんなことより今は一刻も早くここを出たいし、出なければ何か大変なことが起きるような気がする。
「だからさ、俺決めたんだよ。お前も俺たちの兄弟に迎えようって。教祖様と伝道師様に伺ったら構わないって仰ってくれた。だから洗礼の間に連れて来たんだよ。一緒に洗礼、受けてくれるよな?」
「悪い。言ってることさっぱりわかんねえ。」
男前になった同僚は中身は以前のボンクラどころか、とんでもないものに変貌していたようだ。ヤバイ、絶対ヤバイ。俺今かなり危ない場所にいる。
「そっか…教団のこともお前は何も知らないのか…。見た方が早いかもな。案内してやるよ。」
そう言って秋村は俺の手を掴んで引っ張った。
「い、いや。なんか難しそうだし、俺そういうの、あんまり疎いから多分せっかく説明してもらっても理解できねえと思う。本当にごめんな!とりあえず、今日はもう帰りたいんだけど…?」
恐る恐る、秋村を刺激しないように言葉を慎重に選びながら俺はここから逃げる方向へと話を持っていこうとする。
こんなに緊張したのは初めてかもしれない。仕事よりも真剣に俺は今ここから逃げる道を探している。
「そっか…残念だな。俺としてはお前にも兄弟になって欲しかったんだけど…。」
「なんかよくわかんねえけど、ごめん!でも、俺そういう難しいのでよくわかんなくってさ!」
俺がそういうと突然ビクンっと体を震わせて、秋村は直立不動の姿勢になった。
「あっ、秋村…?」
「教団の教えを説き、全ての雄に正しい道を示すのが我ら精磨(しょうま)の一族となった者の掟。貴様のその願いにこたえることはできんな。」
「秋む、うゎっ!!??」
突然声色を変えた秋村はそう言ってニヤリと笑うと、ヒョイと俺を担ぎ上げると、そのまま入ってきたドアへと向かった。
まずい、このドアを出たら二度と逃れられなくなる…!そんな直感が俺の中に鳴り響いた。
しかし無情にも俺を抱えた秋村はそのドアをくぐり抜けてしまった。俺のこの予感は的中することになるのだと、この直後に俺は知るのである。
扉を出た場所には7、8人の男たちがいた。
全員が全裸。
秋村と遜色ないたくましい筋肉を誇示し、また体の中心にぶら下がっている雄のシンボルも同じくらい逞しさを誇示していた。
「ん"っ、んんんんっー!!!」
そんな中で男たちに取り囲まれるように床に一人の男が転がされているのに気がつく。
「!?」
よく見るとそれは俺と秋村ともう1人いた同期の奴であった。
「おい!?何してんだよ!?」
秋村に担がれたまま俺は叫んだ。すると男たちは一斉に振り向き俺の方を見た。
「あれは洗礼だ。イニシエーション、通過儀礼とも呼ぶ。」
抑揚のない声で秋村が答えた。
「洗礼…?」
ヤバイ、これは本格的にヤバイやつだ。なんとかしてここを抜け出さないと。そして一刻も早く警察に連絡して…俺が思案を巡らせていると、秋村は俺をそっと床に降ろした。
「…え?」
「そして今からお前も受けるものだ。」
仮面のような無表情のまま、秋村は俺に告げた。
痛い。
ただひたすらに痛い。
意味がわからない。
「あああああああっ!?あ“っ、あ"っ、あ“っああーーー!!!?」
俺の口から出るのは意味のない叫びだけであった。
「痛いか?その痛みは睾丸に溜まった穢れからくるものだ。洗礼を受けて、睾丸が磨かれれば痛みなど感じなくなる。」
無表情なまま、秋村は俺の金玉を足でグリグリと踏みつけ続ける。仰向けになり、M字開脚したままの情けない姿勢で俺は床に固定されていた。両脚をしっかりと掴むのは、先ほどまで同僚を責めていた屈強な男たちの中の2人。どう考えても抜け出せるとは思えないし、襲い続ける痛みにそんな思考も向かなくなっていた。
「い”っ、も“ぅ、やめでっ、あっ、あっ、ぁああぁぁ…」
時に穏やかに、かと思えば激しく緩急をつけた睾丸責めはもう数十分は続いた。その間も秋村はわけのわからないことを淡々と語り続ける。
「女にうつつを抜かし、男であることを磨くのを怠った者たちが多すぎる…子孫を残すためには女たちは互いに必要な存在だが、本来は子を成す意外の性行為などあってはならないのだ。ましてや1人で妄想に耽り、陰茎をしごき大事な精を漏らすなどもってのほか。お前、今まで何人とセックスして、何百回自慰をしたんだ?俺がいくら磨いても穢れが落ちないから、痛いままなんだぞ?少し自分を省みてみろ。」
わけがわからない。言ってることの意味は一つも通っていない。なのにだんだんと襲われる痛みから逃れるための本能か、俺の口は
「ごめんなさいっ、あ”、あ“っ、んああぁっ!?もうしないからっ、あっ、あああああ!?」
と謎の謝罪を口にしていた。
「どれだけ謝ったところで辞めることはできない。お前の睾丸の穢れを取り除かん限りは、洗礼に入れないからな。あいつを見てみろ。もうだいぶ浄化されたようだ。ああなるまでやめることはできん。」
そう言われて、秋村が顎で指し示した方を見ると、一緒に連れてこられた同僚は
「ああぁっ、んあっ、あっ、あぁっ…」
と悩ましげな溜息を睾丸をグリグリと屈強な男の踵で責められながら漏らしていた。さっき見たときは痛みで萎えきっていたチンポも、今やビンビンになり、先端がヌラヌラしているのが光の反射でわかってしまう。
「...嫌だ。」
とっさに俺は呟いてしまった。
「なんだと?」
秋村はそれを聞き逃さなかった。
「お前はせっかく我々が苦労して貴様の睾丸を浄化してやっているというのに、礼の言葉もなく、挙句に嫌だだと?」
「あっ、あっ、秋村っ、いだいっ…」
俺の呟きは秋村の怒りを買ってしまったようで、金玉を責める脚に力が加わっていく。
「お前はあいつよりよほど穢れが溜まっていたようだな。もういい、容赦はしない。本気で浄化させてもらう。」
「嫌だ、ごめんなさい、家に帰してくださ、あああああああああああああああああああああああああ"っっっ!!!???」
俺の意識はそこでなくなってしまった。
目を覚ますと、秋村に連れてこられる前にいた部屋にいた。でかいベッドに1人で寝転がらされている。
「夢…だったの、痛っ!?」
起き上がろうとしたら下腹部の鈍痛で動けなくなった。どうやらあれは残念ながら夢ではないらしい。
ドアが開く音がして思わず警戒する。そこには秋村が立っていた。
俺は無意識に金玉に手をやり、守ろうとする。
「目が覚めたか。悪かった。さっきは取り乱してたよ…。」
意外な謝罪が彼の口から出てくる。
「悪かったじゃねえよ…俺まだ金玉痛えもん…どうしてくれんだよ…。明日も仕事なのに行けねえじゃん。」
「それは大丈夫だ。会社には洗礼を受けることを連絡してある。」
「っは!?」
こいつは何を言ってるんだ?こんな怪しい宗教なんだかよくわからない所に人を拉致監禁していることを会社に自白したのか?それともまさか
「趣味のSMプレイをしてたら睾丸を痛めたらしく」とか妙なこと言ったんじゃないだろうな?
「待てよ、会社に言ったって、何を。」
「だから、お前もあいつも洗礼を受けるから暫く休むって。俺も前に3日くらい休んだろ?あの時に洗礼を受けてたんだよ。」
「いや、えっ?何言ってんだ?」
「お前こそ何言ってるんだよ。」
「洗礼って…なんつーか、その、一般的じゃねえだろ?それを理由に休みがもらえんの?」
先程は不用意な一言でえらい目にあった俺は学習したようで、「一般的じゃない」などという非常にオブラートに包んだ言い方で秋村を刺激しないことだけを考えて言葉を放った。
「そっか、洗礼受ける前だから知らねえのか。うちの会社、上層部はもうみんな洗礼を受けたんだぜ?総務部長に言えば、なんとかしてもらえるよ。」
はっ?上層部はみんな洗礼を受けた?何それ、知らん。というか、それってどう考えてもヤバイだろ。
「それ、どういう…?」
「んー、まあ、お前ももう通過儀礼は終わったから言っていいだろうけど、うちの会社、再来月には吸収されんだよ。◯◯グループの中に。」
◯◯グループなんて、つい10年も前にできたばかりでありながら急速にその手足を広げ、今やこの国、いや世界の経済にも影響があると言われてるほどのグループだ。そんなデカイとこにうちみたいな中小企業が?いや、それより何より、それとこのSMプレイは何の関係があるんだよ。
「◯◯グループに吸収は驚いたけど、それとこの洗礼、だっけ?とやらが何の関係があるんだよ?」
今度も俺はSMもどきと呼びたい心に蓋をして洗礼とちゃんとした言葉で尋ねる。だってもうこれ以上あいつに金玉蹴り上げられたくないから。
「◯◯グループの代表はこの教団の教祖様なんだよ。だから選ばれた者は教団に入って兄弟になるために洗礼を受けなきゃいけないんだ。」
なにそれやばい。
そんなのわかったら世界吹っ飛ぶんじゃね?ってくらいの情報が俺の耳に入ってきた気がする。
「だから、さ。俺も最初は驚いたけど、いざ兄弟にしてもらって、そこで切磋琢磨っていうの?互いを磨きあってたら、なりたかった自分に変われたし、今度は俺の手で兄弟にするやつを見繕っていいって言われたから、さ。ずっと俺、鈍臭かったじゃん?それでも生暖かい目ではあったけど、他の奴らみたいにバカにしたりしてこなかったお前とか、あともうたった今洗礼が終わって兄弟になっったあいつとかと兄弟になりたくてさ。それでお前たちのこと連れて来たんだよ。サシで飲みに誘ってくれたのも嬉しかったしな。他の同期たちなんて、やっかみか嫌がらせまでして来たやついたんだぜ?靴に画鋲とか小学生かってーの。」
俺の知らぬ間に秋村にも苦労があったようだが
「たった今洗礼が終わったっていった?」
「ん?ああ。今隣の、さっきの部屋に教祖様がいらしてるんだ。教祖様の精液、まあ聖なる液を尻から注がれたら洗礼は完了だ。」
「うん、俺帰っていいかな?」
しまった!地雷を踏んでしまったような気がする。せっかくさっきまで全部オブラートに包んで来れたのに。
「…帰れっかな?」
ニヤッと笑いながら秋村がそう返してくる。これはこれで金玉を責められるより怖かった。
「…どういう意味、ひゃああんっ!」
俺が尋ねるやいなや秋村の手が俺の金玉を撫で回す。すると自分でも感じたことのないような快感ショックに全身が襲われ、俺は少女のような甲高い声で喘いでしまった。
「穢れはもう全部落としおえた。この快感を知っても帰りたいか?」
そういうと笑いながら今度はケツの穴に指を差し込んで来た。
「ひゃあああああっ!!??」
何が起きたかわからないくらいに俺は感じてしまった。なんだこれ?初めてシコった時よりも、初めて彼女ができてSEXした高校の夏休みよりずっと気持ちいい何かが尻の穴から俺の頭の先までいっぺんに駆け抜ける。
「俺の時なんかさ、会社帰りに問答無用で連れてこられたんだぜ?後悔はしてねえけど、最初はすごい嫌だったよ。元々女が好きだったのに、あんなマッチョな兄様たちに囲まれて弄られてさ。でもこれを知っちゃったらもう後戻りは無理なんだよなあ。」
そう言って朗らかに笑いながら俺の全身を愛撫する秋村、俺は息も絶え絶えになりながらのたうちまわって
「ぁあああん、あんっ!あんっ!」
とまるで犬のようになされるがままでしかいられない。
「兄弟になって、自分を磨いて鍛えてさ、んで、逞しくなった雄同士で種を交換することで真の男を目指すんだ。最高だぞ?自分がどんどん変わっていくんだ。」
なんだろう、俺は気絶してる間に一体何をされてしまったのか。だんだんと兄弟とやらになりたい気持ちと、洗礼を早く受けて仲間になりたいような気さえしてきた。
俺たちがじゃれあっていると(正確には俺が秋村のなすがままになっていると)部屋のドアが再び開いた。
「教祖様がおいでだ。我ら精磨の一族は最敬礼で出迎えよ!」
と凛とした太い声とともに、わらわらと何人もの全裸の逞しい男たちが入って来た。秋村はそれを見ると一瞬で真顔に戻り、速やかに男たちの列に加わり、軍人のような敬礼のポーズで列をなしていた。
全員チンポは天を向くほどに勃起して、その肉体と同じくらい逞しさを誇っている。一糸乱れず整列した男たちの中で1人だけ、チンポがヒクヒクと動いてだらしなく見える者がいたので、そいつの顔を見てみると俺と一緒に秋村に連れてこられた同僚だった。そうか、こいつはもう兄弟になれたのか…。
男たちが整列すると、ベリーショートの髪をカッチリとジェルで固めた髭の男が入って来た。肉体も、チンポも、どの男よりも逞しく黒々と生々しく輝いている。
俺はもう嫌悪感など何一つなく、ヨダレを垂らしそうになりながらその男を見つめていた。
「お前が新たな息子か?」
低いがよく響く。
そんなものはないはずなのび、俺の中の子宮が疼いてこの雄を欲しているような気がした。
「はい。」
俺は何の躊躇もなく頷いた。
「後ろを向け。」
俺は言われるがままに尻を突き出した格好で待機する。
「痛みはない。挿れるぞ。」
その言葉と共にこじ開けられた俺の扉。
新しい世界がそこにはあった。
〜1年後〜
「お疲れ様です。」
「お疲れー。」
天下の◯◯グループに吸収合併されて半年、俺は栄転の本社勤務となっていた。
数十階建ての自社ビル。行き交うエレベーターに企業戦士たち。数年前までの自分には考えられない世界だった。
「よぉ!」
「お疲れ!」
俺より一足先に本社勤務となっていた秋村と、あの日一緒に洗礼を受けた同僚が待ち合わせのエントランスに現れる。
「じゃあ、とりあえず飲みに行くか?」
「いいな。その後は明日の分の飯買って帰ろうぜ。」
3LDKの社員寮が俺たちに充てがわれた社員寮だ。成績優秀でなければ入れないと噂されるタワーマンション型の社員寮。実際は教団の施設でもあり、中には自信を鍛えるためのジムやプールも完備され、温泉設備まで整えられている。
俺は変わった。
秋村の、いや、兄弟たち。そしてこのグループを総括する代表、真の顔は我ら精磨の一族の長であえる教祖様のおかげだ。
つまらないとぼやいていた日々は何処へやら、適当にこなしていただけの仕事にも燃え、自身を鍛え、鍛えた成果を磨いた睾丸の子種に記憶させ、兄弟たちと契りを結び、聖なる液を交換する。
こんな素晴らしい世界があったことを教えてくれた秋村には感謝ばかりだ。
今夜もきっと、俺たちは今週の鍛錬の成果を見せ合うのだろう。
社員寮と言う名の教団施設の中には「契りの間」がいくつか存在し、兄弟たちとその成果を見せ合い、交わし合うことで己を鼓舞するのだ。
熱い夜の予感に、俺のスーツの股間は少し膨らみ始めたが、ベルトを直すフリをして、ごまかし、俺たちは夜の街に消えた。
そんなタワーマンションの最上階。
坊主に髭の男が、シャープなラインを保った若者の体を貫いていた。
「あっ、あっ、あっ、あっ!」
「お前の秘肛はいつになっても具合がいいな。」
「あっ、あっ、全部社長のっ、おかげでっ。すっ!ああああぁぁ…。」
そう叫ぶと若者は垂れた陰茎からトロトロと蜜のように精液を流し突っ伏した。
「しかし考えたなあ。男を鼓舞して動かすには金玉を満足させりゃいいとは、こう言うことだったのか。」
「はぁっ、はぁっ、はい。私も初めて社長に抱かれた時に感じたのです。社長のその尻に精液を注ぐと男を洗脳できる能力…。ただ単に使うだけではもったいない。社長はきっと世界を手中に収められる方なのだと…。その為には私のようなものでよければ、命をかけて、貴方様を押し上げるのだと決めたのです…。」
「可愛いやつだ。俺1人じゃせいぜい小さな会社をデカくするくらいしか思いもつかなかったよ。まともに働いてたわけでもないのに、いや、ないからこそ身についた英知なのかね。今後ともお前には役立って貰うぞ。」
「有難きお言葉でっ、あっ、あっ、社長ぉの、太くて熱いペニスがっ、また大きくなってぇ…。」
「お前が可愛いからだ。コソ泥が警備員のフリして忍び込んで、せいぜい数週間のオモチャのつもりだったが、ここまで忠義を尽くされると俺からも愛してやりたくなるさ。」
「ぁああっ、ああっ社長っ、一生お側に参りますぅぅぅぅっ…。」
脱力した四肢でなお、忠誠を誓う者を楽しませる為に全力を尽くそうとする可愛い部下を見て、男は全てが満たされて行くのを感じていた。