おしえておしえて!
🕑 Added 2020-10-06 23:55:16 +0000 UTC
§
最近痛感したことがある。
「次は算数な」
物を教えるというのは楽じゃない。
「鶴と亀が30匹いた時に足の本数が84本……こら、聞きなさい!」
ことにそれが、聞く気のない生徒ならなおさら。
「ね~ね~ユキ~、犬と猫じゃダメ~?」
右に猫耳。
「あははっ、それじゃ足の数一緒じゃん!」
左に猫耳。
「うーん、だったら犬と猫人!」
左右でさえずる猫耳娘が仲良く二人、ステレオチックに聞こえてくるのは双子だから。ベージュの髪に猫耳揺らし、スラリとした長身を揺らしている。広げた問題集になんか目もくれなかった。
元気いっぱいフェーリス族の仔猫が二人、ホモサピエンスには少し荷が重い。
「ルラ、数字わかんなーい」
「だってシアたち猫だし」
「ねー♪」
「お前らなぁ……」
双子だけど性格は反対……なんて都合の良いことはなく、瓜二つなのは顔も中身も一緒だった。その上相手は美少女。ウイスキー色のキレイな髪が猫らしく、きらきらした目は人間にはない華やかさがある。仔猫2匹の圧に、私はもう負けそうだ。
「わかんないから解くんだ! こらっ、ルラ立ち歩くな!」
「あたっ!?」
「ねーねーユキ~、シアとゲームやろうよー」
「あ・と・で! というか呼び捨てはやめなさい!」
なんというか、箱から出ようとする猫を中に連れ戻す作業をしてるみたいだ。
だが生憎、相手はそんな小さな生き物ではない。
見やれば、左右でわきゃわきゃ騒ぐ少女が2人。その顔は私の顔のほとんど真横、至近距離で覗いてくるその目も唇もやたら距離が近くて心臓に悪い。しかも二人のスラっとした脚は更に長く、立てばその身長差は10センチは下るまい。180㎝もの
長身美少女2人に挟まれているのだから、はた目から見れば教わっているのは寧ろ私の方に見えただろう。
けれど。
「つるかめ算なんかさっさと解いてくれ……!」
それが小学生であることは、流石に誰も見抜けまい。
「えー難しいよー」
「だって私たち習ったばっかだもん」
「「ねー!」」
彼女らの成長は、人間の比ではないのだ。最初あった時はまだ可愛げの合った身長も如上のとおりだから、破竹の勢いとはまさにこのことだった。
その上、見た目に頓着しない習性が長身を際立たせる。
「こらっ! 今度はくっつくな! それに、そんな格好ですり寄るなって……。太ももが……、おい、ちょっと……」
「? ちゃんと服着てるよ?」
「そうじゃない、そうじゃないんだ……」
それは、体格に見合った服に買い替えるという、当然な習慣の欠如が招く倒錯。
だって二人は、不相応にも子供らしいファンシーなTシャツを上に、下はスカートも面倒と言わんばかりにスパッツを穿く程度のもの。尻太ももに張り付けるのみでその下は食い込みの下は惜しげもなく生脚を晒していたのだ。
……もうその背はスラリと伸びて乳も尻もボリューム満点、すっかり大人の体と言って良い。だのに中身の方はそうもいかないらしかった。結果、長身むちむち女子高生がむりやり子供服を着ているような、独特のフェティッシュ漂う出で立ちとなっていた。
「と、とにかく解きなさい」
「いや」
「何する? ゲーム? トランプ?」
「あーもーうるさい! これでも食ってろ!」
おしゃべりな口に飴玉を突っ込んでやれば、差し水を打ったように静かになる猫耳娘たち。こうしたところは、本当に猫と変わらない。何が起こったかわからないといった顔で口の中のものをコロコロ転がして、ご自慢の耳もぴょこぴょこ索敵中だ。
(やっと静かになった……)
ようやく落ち着いて見れる、幼いその猫っぽい顔。悔しいが、すごくかわいい。
「先生のいうことは聞くもんだぞ……」
この愛らしさを前にすると、もう情けない恨み言くらいしか出てこない。
一方返ってくるのは、牙が飴をバリボリ砕く不穏な音だけ。口の中では、どれだけ鋭い牙が飴を襲っていることか。
小さな異文化理解。
俄かに慣れることは難しい。
私はため息一つこぼし、自分も一つ飴玉を口に含んだ。
コロコロと。
ガリゴリと。
それから二人の、こくんと喉を鳴らす音がして。
「「飴もいっこちょーだい!」」
再びギャーギャーと騒ぎ始めた。
「もうないぞ」
「えーユキだけズル~い!」
「それでいいからシアにちょうだい!」
「何言ってんだ!?」
人間と要所要所でズレている二人にとって、優先事項は唾液や清潔よりちっぽけな甘味らしい。
「馬鹿、そういうのはなぁ」
口の中に指を突っ込もうとする猫耳娘に、教えなければならないことはまだまだ多い。掣肘しようと、ルアの腕に手をかけて……。
それが、まったく動かないことに気づいた。
どころか、両手で全力を出しても細腕の侵略を止められない。あまつさえ後ろからシアに羽交い絞めにされ、二人を前に私は赤子も同然だった。
そんな可愛らしい怪力が4本、4本同時に私へ襲い掛かる。
「やめろっ……、ちょっ、力、つよ……!?」
蒼白になっても遅い。女子小学生だと言うのにびくともしないその腕力。その手でがっしり口を掴まれたら、どうしようもなくひょっとこ口をさせられてしまう。
これが種族差なのか。2人は片腕でさえ全力を捻じ伏せてしまえる存在なのか。そう思った途端、この猫耳美少女たちは一気に上位の存在へと変貌した。
「何いまさら驚いてるの?」
「ニンゲンが私たちに勝てるわけないじゃん♪」
「バカ、やめっ……」
「ほらほら、頑張らないと襲われちゃうよ~?」
「ユキせんせいざっこ~い♪」
前から後ろから、尻尾を揺らし私を囃す教え子たち。ついには手首も足首も拘束し、追い打ちをかけるようにシアが太ももで腰をホールドする始末だった。頭だってばるんっと丸いデカ乳の中、もはや顔を振る自由さえ奪われてしまっている。
「ばかっ、怒るぞ?! くっ、胸を、押し付けるな……! おい、お前、ブラはどうした……!?」
のしかかったルアの乳房が、目前で豪快に揺れている。重力に逆らうことなく伸びたそれは、Tシャツの限界を試そうとずっしり生地に身を任せるばかり。伸ばされた首口から見えてしまう谷間は、乳房同士でぶつかり合って閉じたり開いたり。挙句先端では乳首さえ浮き出て、強制的にリビドーを刺激するのだ。
そんな、ノーブラばるんばるんおっぱい。それが“だぱぁ……ッ♡”と私の胸にあふれ出すのだからもう堪らない。フワフワ漂ってくる二人の甘い香り。ヒトよりよほど濃いフェロモンが私を怯えさせる。
そこへルアの唇が迫ってきて──!
「ん~~っ♡」
飴を吸い出さんと、無理やり舌をねじ込んでくるのだ。
“ずちゅうゥ……♡”と遠慮なく口内を吸い上げ、ねろねろと舌は口内で暴れまわって。鼻腔さえ圧迫しては、洟さえ噴き出させ私を舐り倒す。
12歳なのに。
私の生徒なのに。
上位種むちむちロリは何をするかもわからず私を笑っている。ただ一つ確かなのは、この娘2人に決して逆らえないことだけだ。
そして今度は、シアの番。
「あ~! ルアだけずるいっ! 私も……♡」
そう言って無理やり私を持ち上げ顔を割り込ませるシア。そうすれば、二人の舌がいよいよ口の中をパンッパンにする。美少女に顔を密着させられて、沸き起こってくる未知の感覚が、私をかき乱すのだ。
あとは三つ巴の舌攻め地獄が待つばかりだった。
巨乳ロリの間に挟まれた私は、飴玉を舐めとられたり空っぽの口をまさぐられたり、同時によだれを注ぎ込まれてはよしよしと頭を撫でられて、絡みつくノーブラスパッツボディに酔わされた。
倒錯的な何かを私に芽生えさせながら。
訪れたのは酩酊だった。
むわむわ漂うケモノ性フェロモンに負けたのだ。
未知の感覚が身を貫く。二人の体がたまらなく気持ちよくかんじる。
そして、だらだらとだらしなくよだれを垂らしたペニスが不意に身をのけぞらせ痛くなるほど痙攣させられて初めて、私はその感覚が何かを悟った。
それでも2人の立てる“くちゅくちゅッ♡”という音はなり続け。
結局私が失神しているのに気づくまで、今しばらく時間を要することになったのだ。
§
翌日。
素知らぬ顔して今日も今日とて先生ごっこ。
トラウマを振り払い、2人を訪れた私を褒めてほしい。
もっとも、学級崩壊同然の2人クラスだが。
それでも今回は、昨日とは少し違った。
「……今日はやけにおとなしいな」
声に合わせ、しおしおと低いところを揺れていたしっぽがピンっと伸びる。
「ん、昨日、わるいことしたかな、って」
「わたしたちのこと、嫌いになっちゃった……?」
「ちゃんとブラもしてきたよ?」
「お菓子、無理やり欲しがったりしないから……!」
おずおずと上目遣いに、けれど私より少し高い位置から2人は窺った。そこが問題ではないのだが、どうも反省はしているらしい。
「……ばか、誰が教え子を嫌いになるかよ」
「ほんと!?」
「よかったー!」
パアッと顔を明るくする2人。その、どこかしば犬かゴールデンレトリバーを思わせる表情に、思わず脱力してしまう。
……実際のところ、両サイドから上位種娘に見下ろされる状況はとてつもなく肌を粟立たせていた。抵抗できない力を持つ生き物に、なんとか言うことを聞かせなければならないのだ。肩と肩が触れそうな距離、Tシャツをパツパツにして膨らんでいる胸の気配、亜麻色の髪から漂ってくるおんなじ体香。それら全てが、昨日の肉欲を思い出させる。同時に、教えられてしまったあの倒錯も……。
グツグツと頭の煮えてしまいそうなほど、トラウマが、愛着が、フラッシュバックに2人の肉体の気配が押し寄せてきて、とてもじゃないけど集中できる状態ではなかった。
教える言葉も上の空。
どころか、だんだんと体調すら悪くなってくる始末だったのだ。
(ばか、緊張しただけで、どうしたってこんな……)
けれど、ダメだった。
もう、とてつもなく体が重い。
「ちょっと、大丈夫!?」
思わず机に突っ伏した私の様子に、双子の声もさすがに不安げに揺れた。
「わるいけど、すこし、休ませてくれ……」
「わかった!」
ルラは立ち上がって隣の部屋のベッドを用意し、シアもスポーツドリンクやら体温計やら探しに行く。
こういう時は優しいのだ。いい子で、すこし元気が有り余っているだけで……。
いや、そのせいでダウンしたようなものだが。
そう思いつつ、用意されたベッドへ連れられ、寝かされてる。
こうしていると、双子の姉2人に看病されているみたいだ。
「ご飯になったら呼んであげるね!」
「それまでに元気になってるんだよ?」
去っていく二人。
続いて、隣から聞こえてくる、二人の楽しそうな声。
それが薄く尾を引いて漂い、私を包み込んでくれた。
それはずいぶん幸福にさせてくれる感覚で、緩やかに眠りの中へ引きずり込まれていき──
覚めた先は現実というより悪夢だった。
「……どういうことだ?」
周囲を埋め尽くす白い大波。雲海を思わせるそれは暖かく、ほの暗い中ぼんやり光っていた。
「なんだ、これは……」
触ってみればふわふわと。嗅いでみれば、いい匂いがする。
そう、いい匂いがする。二人の、猫耳娘独特のフェロモンの香りだ。
思わず夢中になって香りを嗅いでしまう私。
そうだ、これだこれ、とよくわからないことを思いながら、その正体を調べ。
寝ていたベッドのシーツだと気付いた時。
やっと、影を落としているのが大きな体で。
頭上に爛々と二人の猫目が輝いていることに気づいたのだ。
「おわっ!?」
「せんせー小っちゃい」
「ちっちゃくなっちゃった」
幅数メートルにもわたる巨大な柱が4本、その一つ一つがスパッツ食い込む太ももの棟。それが紛れもなく40m近くまで巨大化した二人の姿だとわかった瞬間、いよいよ私の混乱は極致に達した。
「ま、待て、お前らが……、いや、そうか……」
そう思うも、目に飛び込んできたのは遥かかなた、二人の部屋にある本棚とタンス。二人の声を、否定することは出来ないらしい。
「ど、どうして……」
「シアどう思う?」
「やっぱアレ?」
「アレだよね、やっぱ」
「……アレってなんだ?」
「昨日のアレだよ」
「シアたちの唾液」
「飲んじゃったでしょ?」
その瞬間、思わずフラッシュバックしたのは淫靡なおやつの時間だった。
流れ込んでくる何か。唾液が体に染みつく感覚。
──二人は、人間ではない。
「まさか……」
「うん、縮んじゃうんだよね!」
「時間がたったら少し良くなるけど」
「……元に戻れるのか?」
けれど二人は顔を見合わせて、首を傾けるだけだった。
「そんな……」
「ご、ごめんなさぁい……」
「ルア、何か出来ないか探してみる!」
どうも具合がよろしくないとは察したご様子の二人。
一応誤ってみるシアに対し、ルアは四つん這いになって何かを探り出したのだが……。
「なにか書いてある本ないかなぁ~」
「ぶはっ!?」
代わりに目の前に突き出されたのは、とてつもなくデカいスパッツの巨尻だった。
デカい。デカすぎる。あの独特の質感がそのまま20倍まで膨らんで、あげく香りと熱まで放つ始末だ。
その迫力を前に、思わず私は見入ってしまう。気球だってこれほどデカくはあるまい。
「せんせ何か知らない~?」
「知る訳、ちょっ、ない、だろ」
「もう、せんせいのくせにー!」
ええい、尻を振るな! 尻尾が、ああ、尻肉が揺れて……!
フリフリと、プリプリと。
目前で揺れるそれに気を取られ。
ジーっとこちらを見ている、シアの視線に気づいたのはたっぷり数分経った後だった。
「…………ねえ、ルアのお尻に何かついてるの?」
「へ?!」
「さっきからずっと見てる、っていうか今までもだけど」
「ご、ごめん、つい……」
しどろもどろになってシアに弁解する。いくら大迫力とはいえ教え子の、それも子供の尻を凝視していたのだ。咎められれば最悪の事態は避けられない。
けれど、二人の興味は別のところにあった。
振り返ったルアもずいっと私に顔を近づけると、こう続けたのだ。
「好きなの?」
「好きって……」
「好きなの? お尻」
「いや、その」
「好きなんでしょ? ルア知ってるよ。気づかれてるってわからなかったの?」
「しかもスパッツの時はもっと見てるよね! シアたちのスパッツのお尻、ユキせんせ大好きなんだ♪」
「ちが、そうじゃなくて!」
「違わないでしょ?」
このサイズの差、この押しの強さを前に念を押されたら、もう嘘は突き通せなかった。
そして、二人がにまーっと笑った時。
私は、何かとてつもない間違いを犯したことに気づいた。
「せんせ、見て見て~!」
「これ、好きなんだよね!」
グイっと、あの尻を同時に突き出してきたのだ。