秘湯に湯ノ花、霊泉に媚
🕑 Added 2020-06-30 11:25:35 +0000 UTC
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「こちら山で取れました蕨、ぜんまい、こごみの天ぷら、ご一緒に塩と出汁で……」
軽やかな声。
膳に並べられていく、山料理。
鍋を、大皿を、折れてしまいそうな細腕がテキパキとそろえていく。
それは、宿屋自慢の夕餉の支度。
その、いぶし銀な膳とは裏腹に、用意するのはまだ幼さ残る少女が2人。双子の見習い仲居、旅館の2人娘だった。
「以上ですべてです。何かご質問などございますか?」
ほれぼれする仕事ぶりに見惚れているうち、すっかり食事は卓の上。その手際の良さとは対照的に、いたいけな表情で双子たちは俺に微笑む。
「泉ちゃんと、華ちゃん、だっけ? しっかりしてて凄いね。まだ子供だろう?」
「えへへ、ありがとうございます。今年で15になります。でも、出来るのはこれだけですから……」
華がそう言い笑う。年相応の笑みを見せながらも、袖で口を隠す様が奥ゆかしい。山奥で暮らしているせいか、世間知らずのようにも見え、早熟なようにも見え、なんとも不思議な小娘だ。おかっぱというには垢ぬけた、ショートボブというには素朴な顔立ち。妖精が和装しているかのようにさえ思われる。
「ふふっ、でも華、さっきお皿の向き逆に出しかけてたんですよ?」
「ちょ、ちょっと泉ちゃん!」
「私ならそんなこと……、って、イッタ!?」
慌てる華と笑う泉。あまりに笑うものだから、ついには頭をはたかれる始末だ。対して俺は、まあまあとなだめるだけ。
どうもこの泉という娘、すこし大人びてイタズラなところがあるらしい。俺の性質を見抜き、多少の戯れは怒らないと知ったのだろう。そっくりな顔立ちの2人だが、そんな差が笑みの色にも表れていた。
「まだまだヘマしてばかりですが、どうぞよしなにお願いします」
そう言って、無理やり泉の頭を下げさせながら礼をする華。
対する俺は、屈みこむその胸元に目がいってドキドキさせられるばかり。慌てて視線を逸らすも、一気に少女を意識させられたようで落ち着かない。
「いや、き、気にしないでいいさ」
デカかった。
デカかった!
途端に脳内を占領した雑念を振り払い、俺はなんとか取り繕おうとする。
「もう大丈夫だから、下がってもらって構わないよ」
晒せてしまったのは、子供相手になんてことをという気まずさからか。
退出していく2人の背にも赤面し、つくづく自分が恥ずかしくなる。
そして、俄かに静かになった室内に坐して。
絶品の食事に手を付けつつも尚、俺はどこか気もそぞろだった。
──実際のところ。
この宿に来たのはこの食事が理由ではなかった。
食事ののちしばらくして、俺は部屋を出る。手にはカゴ、服にタオルに洗顔具。行く先なんて決まっている。
人伝てに聞くと、名湯との由。
だがそれも、ただの温泉ではないらしい。
古い宿だ。そしてもともと、日本は混浴文化。
浮足立つのも当然だろう。
そんな足取りを必死に抑えているのは、あの少女らに見つかりたくなかったから。
羞恥心もある。
だがそれだけではない。
最初に部屋に通されたとき、華は言っていたのだ。
「ご存じかもしれませんが、当館は混浴があります。……ただ、特別にお教えいたしますが、男性に強くおすすめはいたしません」
「ん、ああ、わかってるわかってる。不埒なことは考えてないよ」
「そうではなくて……」
「大丈夫、男湯に入るからさ」
言ってしまったのは、子供相手に見栄を張りたかったから。
第一こんな可愛い娘たちに、「混浴に行きたいです!」だなんて言えるはずない。
色猿だって、子供の前では格好くらいつけたいじゃないか。相手が、そんな混浴旅館の仲居であっても。
普通に考えれば気づかないはずがない。一方少なくとも華の純朴そうな様子を見れば、男の下心を見抜くオンナの勘があるとも思えなかった。
だから、少し人目を避けて。
気づかれないように、こと、少女たちには気づかれないように。
結局暖簾を潜るまで、俺は殺した息を吐けずにいたのだった。
「……ん、先客か?」
男性脱衣所に一歩入ったところへ、乱雑に転がるスリッパが2組。
やはり男は男。考えることは一緒か。
残念だが、一人で、とはいかないらしい。
構うものか。そのまま服を脱ぎ、いそいそと身支度を整え、心を落ち着かせて。
俺はいよいよ、風呂場へ漕ぎ出した。
§
体を洗う、それさえ覚束ないほどに俺は浮足立っていた。
だってまさに、背後から漂うのは少女の気配。
反響に反響を重ね聞こえてくる声は、間違いなく若い女性のもの。背をなぞるようなその声に、どうにも心が落ち着きをなくす。
もう、我慢できない。
俺は、失礼にならない程度に身を清め。
白いモヤの中へと飛び込んだ。
「……ん、結構温めだな」
長く入れるタイプは嫌いではない。ただ、山の寒さでは湯気立ちはかなりのもの。おまけに、先の方まで進めば進むほど濃くなっていって、なんだか異世界に迷い込んだようだ。
いや、霧だけじゃない。
水深までどんどん深くなり、ついにはつま先まで届かなくなるほど。体格には自信があったが、それでもすぐに泳ぐ羽目になった。
この分だと、下手したら女性は溺れるんじゃないか?
脳裡をよぎる様々な疑念。そうした中、黄色い声はどんどん大きくなっていく。
終にはふわふわと、その影さえ湯煙に揺らぎ始めた。彼女らはもう目と鼻の先。立ち込める濃霧の中、浮かぶシルエットはまごうことなく女性達のもの。
くびれた腰にどっしりとした和尻、胸も太腿も輪郭だけで悩ましく、胴から横に張り出すほどその乳は見るからに豊満というもの。想像を掻き立てるそのラインを目で追うだけで、理想の女体であるのは確実だ。
だが。
(…………なんか、デカくないか?)
はじめこそ、ライトで広がった影が湯煙に投影されたからだと考えた。けれどここは温泉、間接照明こそあれ直接照らすものはないはずだ。第一、そこに浮かぶのはほんのりとした肌色と起伏、まさにそこにいるのは火を見るより明らか。
──何だ、これ?
そんな疑念ごと吹き払うように、湯気は風にそよぎ。
「……あ、来ちゃったんですね♪」
現れたのは、うら若き美少女たち。
ほかでもない。泉と華、その人だった。
「あーあ、私、ちゃんと言ったのにな~♪ ……このエッチ♡」
「泉ちゃん、言い方」
「だって本当だもん」
そう言ってこちらへ近づいてくる少女が2人。健康的な太ももで湯を掻き分け、さざ波を立て寄ってくる。
たかがそれだけのこと。
だけれど俺は。
「ちょ、わっぷ!?」
美脚立てる大波にさらわれて、水底まで引き込まれてしまうのだ。
とても少女が立てたものとは思えない乱水流。引きずり込まれた海の中一瞬見えたのは、美脚と揺蕩う襦袢の羽衣だ。
それがさらに、俺を当惑させた。
まさか、そんな。
答えを求めて俺は、必死にみなもを探して。
「……ッぷはっ!」
「大丈夫ですか?」
「ふふっ、小っちゃいって大変だね♪」
浮かび上がったのは、高くそびえる太ももたちの間。
それは、すでに2倍以上の巨大娘と化した、見習い娘の作る檻だった。
「ふふっ、もう縮んでる♪ よっぽど興奮してたんですね♡」
「ちょ~っと私らが近寄っただけで溺れかけてる♪ 脚に抱き着いてもいいよ? 掴まれたら、だけど♪」
「もうっ、泉ちゃんダメだよ。一応お客さんなんだから……」
「そんなの、ここに来た時点で関係ないでしょ?」
「そうだけどぉ……」
頭上で揺れる白い薄布。上空では、羽衣を着た女神たちが笑っていて。
ただただ、俺だけが小さい異常な世界が広がっていた。
「二人とも、な、なんで……??」
「ば~か♪ ここに来て今更なんでは無いでしょ? どうせあんたも、デッカい女の子見たかったんでしょ~?」
「わっ!?」
そう言って湯を荒らす巨大な太もも。襦袢がぴっとり張り付く極太おみ脚に翻弄され、今度は華の脚に叩きつけられる。溺れぬよう俺は、必死にそれにしがみつくだけだ。
「きゃっ!? もうっ、ダメですよ! 勝手に触ったら……」
「ご、ごめん……。……えっと、華ちゃん、なんだよね?」
「あははっ! 自分で来といてまだ飲み込めないんだ? にっぶ¬~い♪」
「鈍い……? 何を言って……?」
本気で戸惑う俺に、2人は事情を勘付いたらしい。2人で少し顔を見合わせると。
「泉ちゃん、もしかしてこのヒト……」
「本当に知らないっぽい?」
「ふふっ、そうなんだぁ……♪」
それは、イタズラ心を起こしてしまった華の声。純朴そうな娘に俺は、何かスイッチを入れてしまったらしい。
「ど、どういうことだ!? なんで二人とも大きくなって……」
「あはっ♡ “どういうことだ!?”、だって♪ ちょっと面白いかも♪」
「私たちがおっきくなったんじゃないよ? キミが小っちゃくなったんだよ~♪」
「ここ、男の人は縮んじゃうんです♪」
「ちゃんと但し書き読まなかったの? もうここに来たら、何をされてもキミの責任だよ~♪」
「え、えええ!?」
慌てふためく俺をフチに座らせて、大娘たちは左右に腰を下ろす。大きくあふれ出る湯で半ば打ち上げられたような俺は、木板の上でへたり込むばかりだ。
「ふふっ、かぁわい♪」
「どうしよっかな~」
華はにこやかに、けれど計り知れない感情を笑みに浮かべ。
泉はしどけなくフチにもたれかかり、性的な視線を俺に絡みつかせる。
「ボク~、お姉さんたちが体洗ってあげよっか~?」
「いや、俺年上だから……」
「あははっ、こんなにちっちゃかったらそんなの関係ないも~ん♪」
「それとも、こう呼んでほしいんですか? お兄さん♪」
キャハキャハ笑い合いながら、年下少女は俺をからかった。デッカい体で俺の左右に身をそびえさせ、背中を長い指でなぞったり、脚や胸を撫でてきたり。等身大ならいざ知らず、300㎝を超える美女にからかわれては声も出ない。いや、圧倒的な体格差には身の危険さえ覚える始末。誰だって、20センチも違えば威圧されるだろう。それがいま、150㎝を身長差なのだ。いくら華奢な女性だって、8倍もの巨体になれば俺は美女らの腕一本にすら抗えまい。
それが、2人も。
まずい。
襲われる。いや、喰われる。
今更気づく。わざわざ混浴に訪れる若い女性。しかもその効能を熟知している巨娘が、無欲であるはずがない。
第一。
俺より先に来たはずの男はいったい、どこへ行ったというのか。
血の気が引くとともに、一層生々しくなる女体の存在感。
彼女らは獣だ。それも、男を食らいつくす魔性の存在だ。
思わず俺は、2人の間から抜け出ようとした。
「お、俺、出ます……」
「だ~めっ♪」
「は、離せ、離してください!」
「あはっ、余裕ない顔かわい~♪ お兄さん一応私たちに優しくしてくれたから、手加減はしてあげる♡」
「どんどんおっきくなる私たち、たっぷり見せてあげるよ……♡」
「でも最後は……♪」
「自分から縮めてって頼ませてあげる♡」
湯船に引き込み、俺を間に座らせる2人。濡れ髪からぽたりぽたりと雫を垂らし、温い水滴で俺を穿つ。でもそうする間にも、ジワジワと縮小は続いていく。さっきまでなら立てばぎりぎり座高を越えていたというのに、今ではすでに60㎝、その肩にも届かない。
だからこそ、見えてしまうのは真横の乳。遠近法で過度に強調された濡れ透けおっぱいが、左右にドンっと2人分。中学生とは思えないそのボリューム感に、見ては駄目だと知りつつ見てしまう。
視線を隠すためであろう襦袢とて、濡れて肌に貼りつけば無いも同然。いや、それは全裸と別種の裸というべきもので、流麗ながらも女体そのもの、乳房も乳首さえも透けて見え、かえってエロティックなほどだ。全裸の生々しさとは別の、何も隠せていない露出性。それでも彼女らは、隠しおおせていると思っているらしい。
「ふふっ、うちの温泉気持ちいいでしょ~? 私も小っちゃくなって泳いでみたいな~」
月を掴もうとするように手を伸ばし、腕に湯を絡ませる泉。そうすれば、薄布がずり落ち腋や横乳までもが覗いてしまう。その、一瞬見えたおっぱいのシルエット、わずかに腋すじに引っ張られた大きな楕円の輪郭が、俺を瞬く間に虜にしてしまう。
そしてそこに、色っぽいホクロを見つけたとき。
「……ばーか♡」
二回り以上年下の長身娘は、そう俺を笑ったのだ。
それから、眉を寄せ企むような笑みで俺を見下ろすと。
「……舐めてみる?」
袖口を引き、その中を俺に見せつけた。
「うわっ、泉ちゃん大胆……」
「だっていつもはさ、縮めて泣かせてポイ、だし。いいでしょ? たまには♪」
「そういうんじゃなくて! ……泉ちゃんのエッチ」
「華には言われたくなーい! ……ほらボク、どうする〜? ふふっ、すっごくみてる♡」
誘うようにからかうように、襦袢はひらひら口の中のエロスをひらめかす。そこには、腋の付け根からデカ乳の底へと走る、悩ましい起伏のライン。暗がりの中みなもの反射で、やわやわ照らし出されるそのくぼみ。それがまた柔らかそうで、思わず息を飲んでしまうほど。
その、腋乳から漂う視覚の媚薬に引っ張られ。
気づけば俺は、爪先立ちでそのくぼみの中に顔を突っ込んでいた。