夏目なつめ posts
健やかなる時も、病める時も
式は終わった。 俺はもう既婚者だ。 「何見てるのかな?」 立ち尽くしチャペルの十字架を仰ぎ見る、そんな俺の背筋をなにかが這い上がった。 タキシードの背を這う、繊細な指使い、まとわりつく、蔓のような感覚。 間違いなく、それはサヤの指だった。 「ひぃッ!?」 「ふふっ、ボクだよ? 怯えることないじゃな...
上位種姉妹の愛されペット
§ 友好的な上位種のもとに、半年間。 そう決めたのは自分のため、キャリアのためなはずだった。 世界の裏側に隠れていた、聡明な妖精たちが姿を現し、まだ日は浅い。今滞在すれば、貴重な経験として扱われるはず。そんな、随分よこしまな動機で僕は旅立った。 けれどそんな思い、彼女らを前にどうして保てるだろう...
幸せなりし人の街
§ 美しい、あまりに美しい少女が微笑んでいた。 亜麻色の髪はほろほろと、白い頬は朱を差して、現実離れした美少女の顔。 慈愛の表情は絵画のごとく、けれど、たしかにそこにいる、その感覚だけが生々しい。 それが、霞の向こう、空いっぱいに広がっていた。 「女神さま!」 街の一人が天の彼女に呼びかける。 ...
巨乳ロリに果ててイくまで
「……あの、この薬じゃ戻らないん、です、よね?」 処方箋を受け取りながらの、いつもの問答。 俺の無駄な言葉に、女医も笑う。 「無理ですね。進行は止められても、根本的な治療には至りませんし」 研究医も不足してるんですよね〜などと呟きながら、紙切れをよこす。くるりと振り向き、浮かべた微笑も楽しげだ。 「...
それは落日(後編)
§ 「で、どうしたいわけ?」 綾がゾッとする声で言い捨てた。 愛猫を肩に乗せ、ストッキングの脚を組んで一言。 しかし、その前には誰もいない。 足指を苛立たしげに上げては落とし、その中に俺を包んでいたのだ。 「ずっとミアにひどいことしてたクズが、今更何の用? 出てく? 踏み潰される? 便所に流したげよ...